Acrobat7.0では、文書に対する操作(開いた、閉じる、保存する、保存した、印刷する、印刷した)をトリガとして起動するAcrobat JavaScriptプログラムをPDF文書内に保存できます。
WPRLでは、文書レベルのJavaScriptを含んだPDF文書をテンプレートとしてPDF帳票を作成できます。
ここでは、JavaScriptプログラムを追加したテンプレートPDF文書を作成する手順を説明します。
対応動作環境は以下の通りです。
対応動作環境
- WPRL 2004_19以上の版
- Acrobat 7.0.x,Adobe Reader 7.0.x
サンプルでは、AdobeReaderで閲覧後に対象ファイルを閉じた後、"Hello !!"とダイヤログ表示する動作をJavaScriptで付加したPDF帳票を作成できるテンプレートPDFファイルを作成します。
1.フィールド定義済みPDF文書を準備する
「テンプレートの作り方 」を参考に、フィールド定義済みのPDF文書を準備します。
2.文書レベルの関数を定義します
PDF文書内で共有する関数を文書レベルのプログラムとして記述します。
1.Acrobat Professional 7.0を使用してPDFファイルを開く。
2.[アドバンスト]/[JavaScript]/[文書レベルJavaScriptの編集]を実行。
3.[JavaScript関数]ダイヤログで、スクリプト名に、"WPRL_CloseCheck"と入力して[追加] ボタンをクリック。
4.JavaScriptエディタでプログラムを入力。
function WPRL_CloseCheck()
{
app.alert("Hello!!");
}
[OK]ボタンをクリック、[閉じる]ボタンをクリックして入力した内容を確定。
3.文書のアクションを設定します
"文書を閉じる"時に、WPRL_CloseCheck()を起動するようにアクションを設定します。
1.[アドバンスト]/[JavaScript]/[文書のアクションの設定]を実行。
2.[アクションの設定]ダイヤログで、「文書を保存する」を選択して、[編集]ボタンをクリック。
3.[JavaScriptエディタ]でプログラムを入力。
WPRL_CloseCheck();
[OK]ボタンをクリック、[閉じる]ボタンをクリックして入力した内容を確定。
4.文書を保存します
編集したPDF文書を別名で保存し、元のファイル名称に名称変更します。
上書き保存では、更新履歴がPDF文書内に記録されます。
WPRLでは、更新履歴つきのPDF文書をサポート対象としていません。
テンプレートコンパイル時に不具合が発生した場合には、上書き保存せず一旦別名で保存後、再度テンプレートコンパイルを実施してください。
以上作業で、JavaScriptを含んだPDF文書が作成できます。
このPDF文書をテンプレートコンパイルし、テンプレートPDFファイルを生成し、プログラムによってPDF帳票を作成してください。
紹介した手順で作成したPDF文書、テンプレートPDFファイルとこれを使用したサンプルプログラムのリンクは以下にあります。
サンプルプログラムで出力したPDF帳票をAdobe Readerで開き、[ファイル]/[閉じる]を実行してみましょう。
ファイルが閉じた後、ダイヤログが表示され"Hello !!"と表示されます。以上で確認作業は終了です。
出力したPDF帳票:tips3/Tips3.pdf
javaファイル:tips3/Tips3.java
(ファイルをダウンロード実行の際は、拡張子の変更を行なってください)
テンプレートPDFファイル:tips3/initial/Tips3.pdf
Acrobat JavaScriptを使用すれば、"閲覧有効期限" や "印刷回数制限" つきPDF帳票を実現できます。
知恵を使ってチャレンジしてみてください。
なお、Acrobat 8.0以上は、JavaScriptの記述箇所が異なります。
Acrobat8.0/9.0の場合
「2.文書レベルの関数の定義」は、[アドバンスト]>[文書処理]から[文書レベルJavaScriptを編集]を実行してください。
「3.文書のアクション設定」は、[アドバンスト]>[文書処理]から[文書のアクションの設定」を実行してください。
Acrobat Xの場合
「2.文書レベルの関数の定義」は、[ツール]>[JavaScript]から[文書レベルJavaScriptを編集]を実行してください。
「3.文書のアクション設定」は、[ツール]>[JavaScript]から[文書のアクションの設定」を実行してください。